質問回答②:公務員試験で考慮される要素について
ご質問ありがとうございます。
それぞれお答えしていきたいと思います。
毎度お答えが遅くなって申し訳ありません。来年度以降に受験する方に少しでも役立つとよいなと思い遅まきながらお答えします。
はじめに
まず、私は人事に配属された経験がありませんし、以下で書くことはすべて推測であることをお断りしておきます。
さて、ご質問の3つの要素ですが、「ほぼ全く関係ない」と私は思いますし、「全く関係ない」と思って受験するべきだと思います。
あげてくださった3つの要素はあくまで「試験」を構成するものです。「公務員試験」と大きくくくるので何やら採用プロセス全体が試験かのように思ってしまいますが、官庁訪問は採用の面接であり試験ではありません。
なんのために官庁訪問があるのかといえば、試験では測れないものをそれぞれの官庁が測りたいからに他ならないですよね。
(試験ですべて測れるならば、それこそ上から席次順で定員まで取ればよいわけです)
このように大局的に見れば、いよいよご質問の3つの要素がいかに関係ないかがわかると思います。
もし、みなさんが入りたい省庁の人事がこのような要素を重く見て採用を行っていたとすれば、それは「私達は試験以外で人を測る目を持っていません」と宣言していることと同義です。
各省庁の人事はそこまで無能ではないので、きっちりみなさんをみる目をもっていると思いますし、そう信じられるような組織を選択するべきだと思います。
前置きが長くなりましたが、一応各要素についてご説明します。
(1)試験区分
各省庁が、採用予定の試験区分をHPに書いているのでまずそちらをご確認ください。
採用予定の試験区分に合格して官庁訪問に行った場合、あなたには必ず合格の可能性があります。
官庁訪問時点で、試験区分のせいで合格できないといったことは確実に無いと断言できます。
例えば法律区分からの採用が多い官庁があるとしましょう。
この理由としては、
①その官庁が法律区分の合格者を優先して採っている
ということも考えられますが、
②そもそも法律区分の受験者が多い
という可能性も示唆されます。
「卵が先か鶏が先か」的な議論になりますが、一度①か②のどちらかが起きると、両者の相乗効果で雪だるま式に法律区分の採用が増えることが考えられます。
受験者と官庁側に情報の格差があるのでこのような「〇〇省は〇〇区分が有利」という言説が非常に広まりやすいこともあると思います。
さて、ここからは更に憶測ですが、
官庁側に明確に「〇〇区分から〇〇人」という採用基準は無いと思います。
まず、優秀で自らの組織にフィットする受験者は区分に関係なく内定を出すはずです。ただし、当落線上にいる受験者については、他の要素で優劣がつけがたければダイバーシティの観点などから採用区分を考慮して内定を出すことはまったくないとは言えないと思います。(いろいろなところから採っておけば、各区分の受験者にアピールでき、受験者のパイが増える可能性もありますね。)
(2)席次
こちらも試験区分と同じようなことが言えると思います。
つまり「関係ないが、他の要素で差がつかなければ参照しうる」ということです。
席次が良いのはもちろん良いことですが、試験に合格している時点で、合格者の能力は一定程度保証されています。
面接でみたいのは、試験の能力ではなく他のなにかであることは明らです。
面接官は主に現場の職員が担当しますが、彼らは皆さんのエントリーシートしか持っていません。エントリーシートには席次を記載する欄が無いのが一般的だと思います。そして、当然最終的には人事の判断ですが、採用・不採用にしめるかなり大きなウェイトはこの現場の職員の評価によっています。
人事側からみても、席次を重視するのは自らの、あるいは組織の構成員の眼力のなさを認めているようなものなので、これを積極的に採用の指標として用いることはないのではないかとおもいます。
(3)科目
これについては上記2つより更に関連がうすそうです。
公務員試験の試験勉強が実際の業務に直接的に活きることは残念ながら多くはありません。また、仮に活きたとしても、そのアドバンテージは「初心者ではない」ぐらいのもので、実際の業務に要求される水準には達しないことがほとんどだと思います。
試験区分や席次にも同じことが言えますが、選択科目がなにかによって、公務員になった後のパフォーマンスには全く影響がないといって良いと思います。
おわりに
月並みな回答になってしまいますが、試験区分や科目については、皆さんの興味やそれに準じた合格可能性だけで考えて良いと思います。(あくまでみなさんが働きたい省庁が当該区分の採用を行っていることが前提です。)
合格した暁には席次は気にせず、官庁訪問に臨んでいただけたらと思います。
官僚と席次について、面白い論文がありました。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/eds/100/0/100_265/_pdf/-char/ja
古くは内務官僚に席次が良い人が集中していたようですね。
そして、各省庁が時代とともに生え抜きの官僚を育てるようになってきた様子が伺えます。
現代はもはや画一化された能力だけが必要な時代ではありません。
この研究のような席次の概念はあまり考慮されず、多様な職務や様々な環境にマッチする職員をそれぞれの省庁が選び取る時代になっているのでは、と私は思っています。
質問はこちらからお待ちしています。
頑張って早めにお答えするつもりです。